婦人科
月経随伴症状
(月経前症候群/月経困難症)
月経随伴症状とは月経前・月経中に認める下腹部痛・腰痛・頭痛・イライラ・疲労・脱力感など様々な症状のことを言います。症状があらわれる時期により「月経前症候群」・「月経困難症」と呼ばれ、症状によっては治療を早期に開始した方が良い場合があります。また診察により子宮筋腫などの婦人科疾患が見つかることもあります。お悩みの方は、ご遠慮なくご相談ください。
当院では鎮痛剤による対症療法から、ピル・漢方による治療を行っております。
特にピルは避妊目的だけではなく、月経前のお悩みや月経痛を軽減するために多くの女性に使用されます。
月経前症候群
月経前の黄体期に、心身両面のさまざまな症状が毎月繰り返し現れるものを月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS)といいます。症状は数日間、長ければ2週間の期間にわたり、7割前後の女性がPMSを有すると考えられています。
身体的症状:腹痛・乳房緊満感・腰痛・疲労感・食欲亢進・ニキビ・吹き出物など
精神的症状:イライラ・カッとなる・絶えず眠くなる・意欲減退・不安感など
学校や職場で大きな障害がでることもあり、日常生活に支障をきたしている場合には治療の対象となります。
女性の変化を
やさしくサポートします。
ピルについて
ピルにはいくつかの種類と違いがあり、目的にあった使用をしなければなりません。
使用する前に、ピルについて十分に理解しておきましょう。
01.低用量ピル (OC)
(エストロゲンの配合量 0.05mg以下)
保険の種類避妊目的で使用されるため、自由診療となります。
ピル名アンジュ、トリキュラー、ラベフィーユ
02.超低用量ピル (LEP)
(エストロゲンの配合量 0.03mg以下)
保険の種類月経困難症や子宮内膜症の治療目的で使用されるため、保険診療となります。
ピル名ヤーズ、ヤーズフレックス、ジェミーナ、ルナベルULD、フリウェルULD、ドロエチ
ピルの効果
- 月経痛の軽減
- 月経不順や過多月経の改善
- 月経前症候群(PMS)の緩和
- 子宮内膜症の症状改善
- ニキビなどの肌荒れの改善
- 卵巣がんと子宮体がんの発症率の低下
- 不正出血
- 嘔気、嘔吐
- 頭痛、腰痛
- むくみ
- 乳房の張り・・・など
上記のような症状は低用量ピルより、超低用量ピルの方が症状が出にくいとされていますが、不正性器出血は超低用量ピルの方がリスクが上がります。
このようなマイナートラブルは服用を続けるうちに次第に軽くなります。
【血栓症について】
※ピルの服用で最も重要な副作用は血栓症です。
血栓症とは、血管に血のかたまりが詰まる病気で女性ホルモンの血中濃度が高くなる際に発症しやすくなります。
特に、40代の方・高度な肥満の方や1日15本以上喫煙をする方は血栓症のリスクが高くなるといわれています。
血栓症の発症率(一万人当たり)
- 妊娠時・出産直後の女性 → 40〜50人
- ピルを服用していない女性 → 1〜5人
- ピルを服用している女性 → 3〜9人
※低い頻度ですが注意が必要です。
血栓症の前兆
- 腹痛、胸痛
- 激しい頭痛
- 突然の息切れ
- 目がかすむ
- 舌がもつれる
- 意識障害
- 下肢痛、下肢のむくみ・・・など
※このような症状がある時は、ただちに服用を中止し医療機関を受診しましょう。
血栓症の予防
- 水分を十分に摂取しましょう。
- 下肢の運動を積極的に行いましょう。
- 煙草を吸わないようにしましょう。
- 健康的な食事で、体重・血圧・血糖値・コレステロール値などに気を付けましょう。
-
何歳から服用開始できますか?
初経初来後から服用開始できますが、骨成長への影響を考慮する必要があります。
骨成長が終了し月経周期が確立していれば服用できます。
日本人の女性の場合、骨成長の終了および月経周期が確立される年齢は14~15歳です。 -
何歳まで服用可能ですか?
健康な女性であれば閉経移行期まで服用できます。
40歳以上で未閉経の方は慎重投与となり、50歳以降は服用を中止します。
習慣性喫煙者は35歳以上で服用は中止となります。 -
服用し続けて将来の妊娠は大丈夫ですか?
ピルの使用期間と中止後の妊娠率との間には関係がないことが報告されています。ピルを服用したことが原因で、直接的に将来妊娠しづらくなることはありません。
しかし治療が必要となった原因(例えば子宮内膜症による炎症や癒着のある方)によっては、将来的に妊娠しづらくなる可能性があります。
月経困難症
月経に伴い日常生活に支障をきたすほどの苦痛が生じ、治療が必要とされるものをいいます。下腹部痛・腰痛・腹部膨満・悪心・頭痛などの症状を認めます。
月経困難症の分類
- 10代後半~20代前半以降に好発
- 月経初日、2日目の月経の多い時期に一致して症状が出現する
- 病変を認めない
- 30歳以上が好発年齢
- 月経前4~5日から月経後まで症状が持続する
- 子宮内膜症や子宮筋腫などが原因
スコアをチェックしてみましょう!
一番最近の月経で | 月経痛 | なし | 0 |
合計3点以上で 治療を開始 |
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仕事に若干支障あり | 1 | |||
仕事に支障あり | 2 | |||
1日以上寝込む | 3 | |||
鎮痛剤使用 | なし | 0 | ||
1日使用 | 1 | |||
2日使用 | 2 | |||
3日以上使用 | 3 |
性感染症 / 婦人科感染症
主な性感染症はクラミジアや淋菌感染症、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、梅毒、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症などがあります。症状は無症状のものから、おりものの異常、外陰部のかゆみや痛み、下腹部痛などさまざまです。またこれらの感染症は不妊症の原因にもなるため、早期発見、早期治療がとても重要になります。
当院では症状に合わせた検査を行い、治療、指導をしております。
検査
① クラミジア・淋菌感染症、トリコモナス、カンジダ膣炎
膣や子宮の入り口のおりものを採取し診断します。痛みはありません。
② 梅毒、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症
血液検査によって診断します。
③ 性器ヘルペス、尖圭コンジローマ
自覚症状と外陰部や膣内の診察所見により診断します。
治療
ほとんどの性感染症は、指示通りに薬を服用し、洗浄すれば2週間程度で治ります。
ただし、淋菌は薬が効かない耐性菌が増えてきているので、1回の治療で治らないこともあります。必ず再検査を受けてください。性感染症は放っておくと周囲に感染しますので、必ず完治するまで診療を受けてください。
指導
① クラミジア・淋菌・トリコモナス・梅毒・ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の場合
これらの検査が陽性な場合、パートナーに症状がなくても、ご本人とパートナー両方に検査・治療が必要になります。
ご本人だけが治療を行ってもパートナーが未治療ならば、パートナーから再感染(ピンポン感染)し、治療が無意味になってしまいます。
二人が同時に治療を行うことが原則になります。
しかし「検査はイヤだが治療は受ける」と言われた際は、原則自費でご本人と同じ薬を処方・内服することが可能です。またHIV感染症は、完治はしませんが抗ウイルス薬を飲み続けることで後天性免疫不全症候群(エイズ)の発症を遅らせることができます。
② 性器ヘルペス・尖圭コンジローマ・カンジダ膣炎・細菌性膣炎の場合
これらの検査が陽性の場合、ご本人のみの治療ですみます。パートナーは症状がなければ経過観察できます。
性器脱( 子宮脱 / 膀胱脱 / 直腸脱 )
原因は膣の支持破綻(はたん)によるものです。膣組織がもろくなることにより、それまで膣が支持していた周囲臓器(子宮、膀胱、直腸)が膣内に脱出することで発症します。
さらに進行すれば膣外にこれらの臓器が出現してきます。
症状は下垂感、脱出感、頻尿、不正出血や下腹部痛などの症状を認めます。
当院では下垂の状態に合わせてリングペッサリーを挿入し固定する治療をしております。(事前に子宮頸がん、子宮体がん等がないことを確認する必要があります)
リングペッサリーは2~3ヶ月ごとに交換・膣内洗浄を行い、経過観察していきます。
手術が必要な場合、手術を希望される場合には、適切な医療機関にご紹介いたします。
問診票を印刷してご記入のうえ、お持ちいただくと待ち時間の短縮になります。
診察もスムーズに進みますのでぜひご活用ください。